『日本史「敗者」たちの言い分』 岳真也 著
若旦那です。
「勝てば官軍」と言われるように、勝者の言い分は正当化されますが、敗者にはその資格はありません。「歴史は勝者によって作られる」という事実は、歴史好きにとっては自明の理と言えるでしょう。
この本は武運つたなく敗北し、時の勝利者に不当におとしめられたりした古代〜近代の15人(大友皇子・長屋王・源義経・藤原泰衡・新田義貞・今川義元・武田勝頼・柴田勝家・石田三成・真田幸村・天草四郎・大塩平八郎・河井継之助・松平容保・西郷隆盛)にスポットを当て、それぞれの人物紹介の中での「敗北までのいきさつ」では、一般に知られている敗北までの説明と定着してる評価、「事の真相と○○の言い分」では、○○は実際はこうじゃ無かったんだよという説明、そして「負けて勝つ」では、負けたけど新たな時代の礎になったり、武将として一途さや意地が評価されたり、悲劇性によって国民人気が高いんだよとかの説明、この3つのパートで構成されています。
終わり良ければ全て良しとは言いますが、ここに挙げられてる人物達の多くはその逆で、敗北によって命を落としたり命は全う出来ても弁明の機会を与えられず不名誉なレッテルを貼られたりしました。それらの人物達に成り代わって弁明した本書は、著者の主観が入っているとはいえ貴重と言えるのではないでしょうか?楽しく読む事が出来ました。