「告 白」   湊かなえ 著

若旦那です。


「娘は事故死ではありません。このクラスの生徒に殺されたんです」
という衝撃的なキャッチコピーで映画化された「告白」の原作本を読みました。


あらすじは、「自分の愛する我が子を生徒に殺された女教師が、その生徒に復讐する」という話です。


読み始めは娘を失った悲しみに共感してしまい、あまり読むのに乗り気ではありませんでした。しかし、第一章の最後で女教師の森口が、娘の殺害に関わった二人の生徒への恐ろしい復讐をした所から俄然先が気になり始め、ほぼ一気に読んでしまいました。


読了後の感想としてはスッキリ感と後味の悪さがブレンドした奇妙な感覚でした。森口の復讐により二人の生徒は悲劇的な末路を辿ります。殺人という人の命を奪い愛する人を奪う事の罪の重さ、つまり物であれば弁償が出来ますが人の命はどんな事をしても戻って来ない、どんな事をしても償え無い、それほど罪深い行為が殺人なのです。これが過失であり犯人もその罪を悔やんでいるならまだしも、故意に行いしかも罪の意識も持っていない、そのな相手を少年法という裁きに委ねず自ら凄惨な復讐をした森口の行いには共感を持ちました。これがスッキリ感です。


そして、後味の悪さですが、復讐のために当の二人の生徒を苦しめただけでなく、それぞれの母親を故意にしろ成り行きにしろ死に至らしめてしまい、その家族や愛する人達に自分が味わった喪失感を与えてしまった事です。それなのに森口にはその罪の意識が無い。これではあまりにも身勝手過ぎるのではないだろうか?まさに復讐は憎悪の連鎖。殺人と復讐を考えさせられる一冊でした。