「ラインの虜囚」   田中芳樹 著

若旦那です。

あらすじは、「16歳のコリンヌは父の死を祖父であるブリクール伯爵に伝えるためにカナダからパリに向かいました。しかし、祖父は自分の意に反してカナダに渡った息子を許しておらず、コリンヌに対しても冷たい態度をとります。しかも、本当の孫かどうかも疑い、それを証明する条件として巷に流布するナポレオンは生きていてライン河のほとりの双角獣塔に幽閉されている、という噂の真偽を確かめてくる事を命じます。コリンヌは天才作家のアレク・海賊船長のラフィット・酔いどれの凄腕剣士のモントラシェという頼もしい仲間達と共に双角獣塔に向かいます。行く手には何が待ち受けているのか?ナポレオン生存の真偽は?」

という感じです。

この本は児童向けらしく文字が大きく読み易かったです。双角獣塔へ共に行く仲間が簡単に見付かった事は、都合が良過ぎるなぁと思わないでもなかったですが、まあ大した事ではありませんね。最後はどんでん返しでちょっぴり悲しい結末でしたが面白かったです。

多少ネタバレになりますが、コリンヌとこの3人は実在の人物なんです。アレクはアレクサンドル・デュマと名乗ったので、あの「三銃士」の作者だと分かったのですが、他の3人もそうだとは気が付きませんでした。

物語がナポレオン没後9年しか経ってない上に、モントラシェ(この名は偽名)がかつてナポレオンの元で戦った高名な剣士だった事もあり、その前後のヨーロッパの歴史や情勢、ナポレオンの逸話等々が語られ、著者の中国物は読み慣れていた自分にとって新鮮でした。それと、表紙や挿絵を描いた鶴見謙二氏の絵が物語に合っていて良かったと思いました。